松山赤十字病院副院長 小谷信行先生の優しく・楽しく・わかりやすい講義を中心にトークを交えたホットなひと時を一緒に過ごしませんか?
ドコママが毎月取材をさせていただいている松山市子育て支援課主催の育児健康塾をご紹介いたします。
経歴
1949年 鳥取県出身
1975年 岡山大学医学部卒業
1990年 岡山大学小児科講師
1991年 松山赤十字病院小児科 第一部長
2011年 松山赤十字病院 副院長
日本アレルギー学会専門医
日本小児科学会専門医 医学博士
岡山大学医学部医学科臨床教授
愛媛大学医学部臨床教授
愛媛県教育委員会家庭教育推進協議会委員
成育医療センターでの活動
専門/免疫アレルギー、育児学、心身症
松山赤十字病院小児科で、小児科医13名、
カウンセラー5名と共に喘息、アトピー性皮膚炎、心身症、拒食症、被虐待などの子どもたちの治療やサポートに取リ組んでいる。
2012.01.06
Q/3人子どもがいます。けんかをすると3歳のほうが口が達者なので5歳の兄のほうが最後に手が出てしまいます。 (5歳/男児 3歳/女児 2ヶ月)
A/5歳のお兄ちゃんは自分を抑制する力があるので、一旦引いているんでしょう。どうしても下の子のほうが口が達者になります。2人でやりあうことこそコミュニケーションのスキルを育てるために大切な経験です。けんかをすると次々に相手を負かしてやろうと言葉を考えますよね。その時、脳が活性化し色んな場面に対応する力が伸びるのです。お兄ちゃんにもそうした能力を伸ばすために、兄弟でのやりとりを充分にさせてやりましょう。
Q/小谷先生のことが大好きです。どんな環境で育ったら、小谷先生のように立派になれますか?また、お母さんはどんな方ですか?
A/私は鳥取県日野郡というところの出身で、小学校に入学するまで集団には入ったことがない環境で育ちました。家の手伝いをとにかくしていましたね。母はおっとりした感じであまり色んな事は言わない人でした。家の手伝いはほとんど肉体労働でしたから、この通り体格よく育ちました。中学に入ってからは、野球ばかりの毎日でした。友達が塾に行っているのを知って、塾というものの存在を知ったくらいです。そのころは大して勉強をしなくても成績は良かったので、あまり意識したことはありませんでしたが、高校3年生で世の中にはすごく頭のいい人がいるんだとちょっとしたショックをうけて、急に勉強に熱が入りだしました。今でも親に感謝しているのは、むりやり勉強をさせられたという経験がないことです。また、家事は幼いころから慣れていましたから、そういう点でも自立するときには助かりました。どちらかというとガキ大将タイプでリーダー的な性格だったので、高校の時には相当もてましたよ~(笑)そんなこともあって、わが子も塾は通わせずに育てました。息子はサッカー少年でしたよ。子ども時代は勉強以外にも大切なことを学ぶ時期だと思いますから、何か打ち込めることを見つけてやるといいでしょうね。
Q/子どもの早期教育がもてはやされることが多いですが、意味があるのでしょうか?
A/子どものころには何をおいてもとにかく没頭する時間、至福の体験があることが大切です。本人にやる気がないのに早期教育をすることは意味がないと思います。言葉を学ぶことは、相手とつながりたい、自分の思いを伝えたいと感じるから、自分から学ぼうとする気持ちが芽生えるのであって、試験をするための言葉や勉強ではないはずです。将来何になって何を人に伝えたいか、その伝えたい気持ちを表現するための道具が言葉です。また、Face to faceの顔が見える関係をしっかり作っておかないと、大誤解を生むこともあります。ネットなどがそうです。早くから単語を覚えても意味はありません。コミュニケーションの道具として言葉を上手に使えるかどうかが大切なところなのです。
Q/無理に飲ませようとしたせいか、急にミルクを嫌がって飲まなくなりました。母乳の出方が少ないのですが、それを飲んだだけで後は機嫌よく過ごしています。でも、量が少ないので大丈夫でしょうか?満腹中枢になにか問題があるのでしょうか?(4ヶ月/男児)
A/問題ないです。嫌がるのを無理にされて、いやな印象が残ってしまったのでしょう。哺乳瓶やミルクがだめになる赤ちゃんはこのパターンが多いですね。離乳を早めに進めていくようにして、ミルクは一休みして記憶を薄れさせるようにします。離乳食も薄味でできるだけ本人の好みに合わせ、舌触りの良い滑らかな食感のものから始めていきましょう。こういうタイプのお子さんは記憶力がとてもよいですから、学生時代はきっと暗記学習などは楽なはずです(笑)
Q/家庭用ゲーム機で家族や周りの人が遊んでいる画面などを赤ちゃんが見ることはよくないですか?
A/短時間なら大きな影響はないですが、1~2時間以上ともなると問題があります。電子音は刺激が強いですから、かなり小さな赤ちゃんでも反応します。これに慣れてしまうとより刺激の強いものを求めて中毒のようになってしまいます。通常のおもちゃでも、電子音がするようなものはできるだけ避けたいものですね。
Q/おんぶをするとどんな良いことがあるんでしょうか?
A/平衡感覚を鍛えるためにおんぶはとてもよいのです。自分でバランスをとりながら、大人の背中につかまることを自然に覚えるのです。自転車に乗るのと同じようなものです。抱っこだと、抱いている人が合わせてバランスをとることも多いですから、目線が届かない背中にのることに意味があるんですよ。
Q/早期学習はあまりよくないとおっしゃいますが、湯川秀樹の自伝には、3歳のときに祖父から漢籍の素読を習ったというくだりがあって、我が家もそのようにしたいと考えていますが、大丈夫でしょうか?(1歳)
A/湯川博士は凡人にはない特別な脳を持っていたといわれています。音と視覚を使って記憶する力、その記憶する場所には大きな図面のようなイメージがあったといわれます。まさに特殊な天才だといえます。小さな時に学んだ知識を記憶の引き出しにしまっておいて、大人になってそういう経験をしたときに合致できれば良いですね。そういう意味で、大人になっても有効に利用できる確証があれば早期教育も問題ないと思いますが、大人になる途中での弊害のほうが多いこともあります。早期教育もやり方次第で、何事も楽しみながら学べるようにすることが第一です。
Q/おもちゃを与えても飽きっぽく、長続きしません。5~10分くらいは遊びますが、一度飽きると見向きもしません。(6ヶ月/男児)
A/5~10分も遊べるなら、その年齢では集中しているほうです。一度飽きたものは、しばらく隠しておいて忘れたころにまた出してみるなど工夫してはいかがでしょう?子どもは次々に興味が移るものなので、しばらくしたらまた同じものに戻ることもありますし、こだわりが出てくることもあるはずです。数が多すぎても混乱するので、たくさん与えないほうがよいでしょう。
Q/キッチンのボールなど、日用品などで遊ばせてもいいですか?(6ヶ月/男児)
A/それは子どもにとってはたまらなく面白いと思います。お母さんが使っている様子を見ているのですから、市販のおもちゃよりずっと楽しそうに見えるはずです。もう少し大きくなったら外遊びを積極的にさせましょう。
Q/つかみ食べをすると脳が発達すると聞き、させようとしましたがいやがります。自分から興味のあるものは何でも触りに行こうとしますが、手を貸すととたんに嫌がります。
A無理にさせようとすると嫌がるのは、意思がはっきりしているからです。つかみ食いも、自分が自らしようとしているならばいいですが、無理に進めることはありません。本人の意思を尊重して様子を見たほうがよいでしょう。
Q/靴を履いて初日は座り込んでいたのですが、ようやく上手に歩けるようになりつつありました。外遊びをしたいのですが、なんでも口に入れるのでどうやって遊んだらいいでしょうか?(11ヶ月/女児)
A/なんでも口に入れるならシートを敷いてその上で遊ばせるようにしてはいかがでしょうか。これからは自由に歩けるようになったことが嬉しいはずですから、とにかく歩くと思います。お母さんが気をつけていれば、危険なものはめったにないと思います。いかに楽しくわくわくする体験をさせてやるか、そちらに目を向けてお母さんも一緒に楽しみましょう。
Q/親の頭の良さは遺伝するんですか?
A/脳の特徴は遺伝しますので、そういう意味では遺伝するといえます。人間はオールマイティではないので、できない事を改善するのではなく、できることをいかに伸ばすかの教育をするべきなのです。自分が楽しめることを親が知っていると子どもも楽しくなるものです。脳と能力の特徴をしって、それを伸ばすようにしてやればよいのです。IQが高い低いは関係なく、また夫婦の特徴を50%ずつ受け継ぐということもなく、どうしても偏るものです。得意な分野をつぶすことなく伸ばしていきましょう。
Q/赤ちゃんは意外と何でも理解していると伺いましたが、では叱る基準を教えてください。まだ幼いせいか叱っても分からないような気がします。探検好きで色んな引き出しを開けては探っています。とりあえず開けても良い引き出しを1つは作っているのですが、どうしてもやめない時や触っては困る場所に関しては親の都合で叱ってもいいでしょうか?(10ヶ月/女児)
A/叱る基本は危険を知らせるということ。叱り方にもコツがあり、単に怒鳴るだけでは効果は半減です。強い声で音末をあげて、だめなことはダメとはっきり伝わるように。子どもは、叱られたその時には悪いことと分かるのですが、興味の対象の魅力に負けてしまうことが多いのです。同じ口調で言い続けるとそのうち慣れてしまって、効果がなくなります。命に危険のあるものはどこかにしまって、ある程度は興味を持ったことは伸ばしてやるつもりで大目に見ましょう。ある程度やりきると気が済むと思います。なんでも分かっているというのは本当です。子どもとの知恵比べだと思って、いろいろと作戦を練って関わりを楽しんでください。
Q/将来、東大かケンブリッジに入学させたいと主人と話しているところです。そういう子に育てるには3歳くらいから勉強をさせたほうが良いでしょうか?(11ヶ月/男児)
A/東大などにすんなり通える人は、正直言って脳のできが違うと思ってください。視覚認知の優れた人や、記憶力がすごくいい人が多いのは事実です。そういう人は高校までは勉強以外のことに熱中していても、すんなり入学できてしまうのです。誰でも努力すれば大丈夫というものでもないのです。またあまり小さいうちから勉強をさせると、勉強がいやになってそのうち精神的につぶれてしまうこともあります。子どものうちに伸ばしたいのは、コミュニケーション能力。英語などの母国語以外の外国語に関しての学習は、6歳くらいからはじめるのがよいようです。
Q/赤身の魚が好きで、離乳食にマグロを週3回くらいの割合で半月くらい続けていました。最近マグロの水銀汚染が心配になり、今は白身の魚をメインに食べさせています。(1歳3ヶ月/男児)
A/心配はありません。胎児の時期に有機水銀を摂っていたら、体内に吸収されていたと思います。以前、子どもの発達障害は水銀汚染のせいだといわれていた時期がありましたが、今では間違いだったと分かっています。高濃度に汚染されたものを直接摂取すると影響があると思いますが、通常の食事ではそのようなことはまずないので大丈夫です。
Q/2人兄妹の兄です。時々児童館に行きますが、そこで他の子に物を取られたらやり返すことができません。今後、妹が大きくなってもけんかもできないのではと思います。(2歳3ヶ月/男児 2ヶ月/女児)
A/上の子は慎重な性格の子が多いのです。時々行くだけということですので、その場所に慣れるまで時間が多少かかっているのではないでしょうか。色んな場所に連れて行って、たくさんの人に触れ合わせることが大切。人間関係もある程度なじんでくると地が出せるようになると思います。兄妹げんかはそのうちするようになりますのでご心配なく。
Q/家を建てたとき、子どものことを考えておらず、リビングの床はタイル、階段には隙間があり、小さな子どもには危険がいっぱいです。しかし、主人は「小さいときから教えて慣れていれば危なくない」といって、ガードなどをしようとしません。どうしたらよいですか?(3ヶ月)
A/小さな子どもに話して聞かせようとしても100%理解することはできません。いくら危ないからよけなさい、気をつけなさいと言っても、結局は何回か危険な目にあってみないと分からないものです。そのうち取り返しのつかない大事故につながる事だってあります。ガードは必ずすること。事故は親の責任です。防げる事故は知識と対応さえすれば回避できるのです。